手軽な心臓CTへの道のり

心臓CTについての云々かんぬん、研究会報告等を自由気ままにしていきたいと思います

心臓CTのPitchと管球回転速度の選択について

あんまり一気に書くとくたびれてしまうと気づいた今日このごろ。

 

今日は前回の続きがてらタイトルの通り。

あ、ちなみに基本的には64列CTについての記載になりますのでご了承ください。

 

まずはPitchから。

Pitchは表記がいくつかあり、いわゆるPitch Factor(PF)とHelical Pitchがありますが、数値が出てきた時は(自分が使い慣れてるので)Helical Pitch(HP)だと思ってください(HPを列数64で除せばPFになります)。

 

心臓CTでPitchを変える理由は、被ばく線量の低減と時間分解能の向上、不整脈対応に対するECG Editのためなどの目的がある。

被ばく線量(mA設定)についてはちょっとややこしいので後ほど。

 

Pitchの変更で時間分解能の向上とはどういうことか。

セグメント再構成の記事で書いたようにオーバーラップ分(1スライスごとのデータ量)が増えるほど時間分解能を向上させることが可能である。

これはResonance Caseにならなければであるが。

 

なので、知識があまりないがこれから心臓CTをやらなければならないという方は失敗しない超安全策をとるのであれば毎回最小Pitchで撮影することをおすすめします。

最小Pitchで撮影しておけば先に言った時間分解能の加え、データ欠損限界時間というものが延びることで不整脈が出た時などのECG Editの幅が広がり、必然的に失敗率は下ががるはずです。

ただし、ちゃんとやっている人に「全例最小Pitchです」とか言うとかなり怪訝な顔をされると思うのでおおっぴらにすることはオススメしません(被曝などの観点からも)。

 

「ただ最小Pitchで撮ればいいのよ」とだけ言ってると文句言われると思うので一応、時間分解能向上が必要な症例について。

それは高心拍数症例、つまり拡張中期(MD)再構成では静止画像が得られず収縮末期(ES)再構成を必要とする症例です。

MD再構成は低心拍数症例で行うことが多く、ハーフ再構成になるためそこまで高い時間分解能は不要なことが多い(緩徐流入期>時間分解能になればOKなので)。

さらに、低心拍数症例はRR時間が長く、Pitchを小さくしようが1スライスごとの心拍をそれほど得られません。

なので低心拍数症例でPitchを小さくしてもES再構成では静止像が得られないんです。

(ADCTやDual Sourceなら話が変わりますが)

 

理想としては(βブロッカーなどの心拍数コントロールが前提ですが)低心拍数はHigh Pitchでオーバーラップを減らし被曝低減に努める、薬剤投与によっても心拍数が下がらずやむなくES再構成が必要となる症例についてはLow Pitchを使用する、という使い分けだと思います。

 

次に管球回転速度。

時間分解能曲線の「イイトコロ」を選んでください。

これでOKです。

 

必ずしも0.4sec/rot.よりも0.35sec/rot.が優れているわけではありません。

例えばHR80bpm台の0.35の時間分解能はどうでしょうか。

Resonance Caseとなるためとても悪い時間分解能になると思います。

このような場合では勇気を持って0.4sec/rot.で回してください。

ただし、0.4sec/rot.はそれ以外の時間分解能が良くないのでかなりの博打ではあります。

ですので0.4sec/rot.で撮影する時は心拍数が80台で(呼吸停止しても)安定していることが大前提だと言えます。

ホントは使いたくないので80bpm未満か逆に90bpm以上で撮影しちゃう方が安全なんですが。

 

ということで管球回転速度は「時間分解能曲線」「患者状態」「投与薬の作用」をよーくにらめっこして選んでください。

 

なんだかどんどん語尾に統一性がなくなって来ていますが今日はこのへんで失礼します。